教育マイクロワールド研究会 (過去の記録)
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教育マイクロワールド研究会 会報 NO.4



今年の夏は、例年にも増して残暑が厳しく感じられます。2学期を間近に控えた8月24日水曜日、 第4回教育マイクロワールド研究会が開催され、10名の先生方にご出席いただきました。
今回の会報では、坊野先生が、レゴロゴを小学校の総合的な学習の時間に活用された実践と、兼宗さんのデモンストレーション---オブジェクト指向の「新しいロゴ」という視点で研究開発中の言語--についてご紹介します。活躍されている場は違うお二人ですが、新しさと同時にコンピュータ教育の重要な部分をしっかりと意識して活動されているという点で、共通するものが感じられます。       

発表 1.....坊野 博範先生(神奈川県相模原市立淵野辺小学校)..... 

●発表内容●
1.明確な課題設定が学習活動を活発にする、レゴロゴを活用した総合的な学習    
  • 実践校 :相模原市立東林小学校
  • 期  間 :平成11年2学期〜3学期
  • 時間数 :19時間
  • 対  象 :5年生

2.授業提案「ドレミとなかよし」

  • 実践予定校 :相模原市立淵野辺小学校
  • 期  間 :平成11年2学期〜3学期
  • 時間数 :19時間
  • 対  象 :5年生
  • 科  目 :音楽科
  • 対  象 :1年生
坊野先生
実践事例発表中の坊野 博範先生


最初に坊野先生からモニターを使っての、子どもたちの作品紹介がありました。これらのレゴロゴ作品は製作の過程でどんどん変化していきます。
4人グループでひとつの作品を作っていく中で、まず簡単な課題を解決し、「こんなこともやってみたい」「あんなこともやってみたい」という気持ちからより高い課題が生まれます。次にイメージしたとおりには動かない等の問題に直面し、グループ内や、クラスの仲間と協力し合い解決していく、そしてより高い作品作りへと発展していくのです。
子どもたちは、この課題の最終目標である「学校まつり」のゲームランド(学校行事)への出展や、4年生にレゴロゴを教えるという活動を通して、自分が教えた子どもたちから、発想の面白さ、熱心さに逆に学ぶという経験をします。さらに授業参観ではお母さんからの質問に対して、子どもたちなりに説明することが出来、お母さんたちから誉められたことで、満足感と自信を持ちます。子どもたちは作るという活動を越えて、貴重な実体験をすることが出来たようです。指導者としての、坊野先生の熱意とご苦労が、そしてかなりの"手応え"を感じ取れる発表内容でした。
他に、授業提案として「ドレミとなかよし」についてご説明いただきました。これは、マイクロワールドの機能を使って、階名唱に親しむというものです。7種類の楽器で音の違いを楽しむ、自動演奏、テンポを変える等、1年生の音楽の授業が、より楽しく豊かなものになりそうです。


●発表後の意見交換●

意見交換の内容は、9月から、キャロボンを使った授業実践に取り組まれる先生方にもご参考にして頂けるものと思われます。



  • 先生はどのような接し方をしたのか?
    <回答>あくまでも子どもが主体。ゲームランドを自分たちで作ることが大きな目標。そのためにレゴロゴのキットを使って、それぞれ課題を持ってやっていこうというものだった。教師はあまり関わらず、子どもが聞いてくると、ヒント、アドバイスという形で支援。レゴロゴは活動が具体的で、子どもがどういうことをしているかが見えやすく、支援がしやすい。(坊野先生)



  • 技術的な支援は? 子どもたちはどのように作品を作っていったのか?
    <回答>使い方については教えていない。「レゴブロックを組み立てて、それを動かすことができるんだよ」という簡単なものを見せただけ。「レゴブロックが動くんだよ。コンピュータでコントロールできるんだよ。」ということを提示し、プログラムの指導だけした。活動後の子どもの感想文から細かい過程を知った。(坊野先生))     



  • 本、大人などから情報収集をするという活動が5年生ならできるのでは?
    <回答> ここでは、情報収集はあまり考えなかった。自分たちの力で作りあげていくということに重点をおいた。問題が起きた時に、自分たちで解決して、次のステップへといくところを主に狙った。この課題は(ブロックで作り、動かすという)問題が具体的で、イメージと実現は(思ったように動かない、など)違うのでそれをねらった。(その違いに悩み、考えて、実現しようとする試行錯誤の過程)(坊野先生)    



  • この活動は、日頃の坊野先生の教育がきちんと積み重ねられているからこそできたこと。そうでなければ、同じ課題であってもこのような結果は得られないということを、これからの先生方にしっかりと理解してほしい。    



  • この課題に当てはまることではないが、”全部探求”に問題点もある。特にツールの使い方は最初にきちんと教えることは重要。安全の指導がなされず、子どもが怪我をするという例もある。
   

発表 2..... 兼宗 進さん(筑波大学大学院/日本Logoユーザー会).....

●発表内容●
  

  • 新しいロゴを考えてみよう



    1. 学校でプログラミングを体験しよう


    2. どんな言語がよいかと考えてみると


    3. 何がLogoに必要なのか


    4. こんなLogoを考えてみた


    5. まとめ

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実践事例発表中の兼宗 進さん

筑波大学大学院での研究内容について兼宗さんに説明していただきました。学校の一般課程で体験するプログラミングとして、どのような言語がよいのだろうかという観点から、Logoにオブジェクト指向をプラスした”新しいLogo”を開発されています。
デモンストレーションでは、かめが描いた図形がオブジェクトとして独立していく。つまり、かめが生み出したものがその性質を受け継ぎ、独り立ちしていくという過程を丁寧に説明して下さいました。かめ自身も人格(プログラム)を持っているので、育てていくことも出来るということです。
また、子どもにとってよりわかりやすい文法も追求されています。現在は個人の作業であるプログラミングを、教室内でオブジェクトの交換などをすることで共同作業として位置づけることもできる、さらにインターネット上で育てたかめを公開するといった、一歩進んだLogoの世界の構想を解説して下さいました。今年の秋、高等学校での実験が始まります。


●発表後の意見交換●

質疑応答では、プログラミングの専門的なことから、実際に教育の現場に取り入れられた際の予測や、課題といった広い範囲で議論が展開しました。


  • 将来的には、ブラウザ上で動くものを目指している。アプレットでも動くようにしたい。かめの交換は、公開した際、サーバーにかめのデータベースをつくり、そこで行えるようにしたい。



  • データベースが膨大になってなってしまった際の対策を考える必要がある。事典、分類、検索エンジン等が考えられる。
    また、共同作業を考えるのなら、データベースにある程度質の揃ったかめを集めるノウハウも必要。



  • 図形を描いたかめと描かれた図形との関係、オブジェクトの関連がはっきりしないのでは?
    <回答>描かれた図形は、自分たちの親がかめであることを知っている。例えば無理な命令を与えられ、出来ないと親や仲間のかめに頼む。重複して知識をもたなくてもよいが、切り離すときに親の知識を組み込んで渡さないといけないというのが課題である。(兼宗さん)    



  • 実際に継承はされているのか?
    <回答>一般の言語の「継承」ではない。クラスという子どもにとって難しいと思われる概念を使わない。型というものを取り払って、オブジェクトをコピーし、細胞分裂するような形で「継承」に近いことを実現できる。(兼宗さん)



  • かめが成長していくという具体的なイメージとは?
    <回答>例えば、かめに愛着を持たせるところからはじまり、同じ命令でも、違うことをするようなキャラクターのかめを作る等、ちょっとしたいたずらを楽しみながら、まず遊んでみるというやり方も予想される。
    また、高等学校では、生徒が育てたかめを先生のPCの画面に集めるシミュレーションも面白い。(兼宗さん)    

教育マイクロワールド研究会 事務局から
<今回の配布資料>


  • 坊野 博範先生: 明確な課題設定が学習活動を活発にするレゴロゴを活用した総合的な学習/ドレミとなかよし(音楽科指導計画案)



  • 兼宗 進さん: 新しいロゴを考えてみよう/「学校教育用オブジェクト指向言語/環境の構想について



  • マイクロワールド大賞受賞者 入賞者および作品一覧



 

今回参加できなかった会員の皆さまには、上記資料を郵送いたします。