教育マイクロワールド研究会 (過去の記録)
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教育マイクロワールド研究会 会報 NO.6



 穏やかな晴天に恵まれた12月9日、2000年最後の教育マイクロワールド研究会(第6回)が開催されました。
 発起人の先生がたのご尽力で、研究会発足の呼びかけが行われたのがちょうど1年前。今回は、3人の先生がたが実践発表をしてくださいました。着実に広がってゆくマイクロワールドの輪に、これからの研究会のさらなる充実を期待できそうです。

発表1 菊地 恵美子先生(葛飾区立白鳥小学校)
  • 題 材:「一台のパソコンから」--3年1組の試み、一学期・二学期--
  • 実践校:葛飾区立白鳥小学校
  • 期 間:平成12年4月〜12月
  • (科 目):朝自習(20分)と昼休みを使った活動
  • 対 象:小学校3年生
菊地先生

●概 要●

 8月の研究会に初めて参加された菊地先生は、子供たちと一緒にマイクロワールド(2.5)の使い方を勉強し、2学期から朝自習の時間を使って実践を始めました。教室に置いた一台のパソコン(先生の自前)を利用して、文字入力や印刷だけでなく、子供たちの話し合いや教え合いが広がり、「交流」が学級の中に定着しているようです。

 今春のフレネ教育法研修旅行(フランス)やお子さんの学童保育の仲間、ロゴ坊、鈴木勢津子先生との出合いなど、様々な人やモノとの出合いを経てマイクロワールドを使うことになった菊地先生。フレネ教育のベースある「作業と表現」を生かして、1学期は「一太郎スマイル」を使い、2学期は「マイクロワールド」を使って作文を軸とした実践を行なわれました。
 (資料として4作品「バスハイク」「ねこのひゃくめんそう」「青空学校秋のハイキング」「赤ちゃんが生まれた」のプリントアウト)
ねこのひゃくめんそう

 

■発表から■

1学期……作文をうつことを体験 「一太郎スマイル」を使用 

2学期…「マイクロワールド(2.5)」を使用


「ねこのひゃくめんそう」
ねこの折り紙を作って、皆の前で動かしながら発表。
    1. 朝自習で子供たちが興味のあることを作文に書いて発表する(作文帳)。
    2. その中で、皆が興味をもって質問したり、関連する事柄の話合いなどが活発に行なわれたものを選んでパソコンで文字入力する(入力や印刷は昼休み等に行なう)。
    3. プリンターで出力したものに手書きの絵を入れてからコピーし、クラスの皆に配る。
    4. 朝自習の時間に、誰かに読んでもらう。皆もそれぞれ読みなおす。
    5. 作文帳に貼る。
    6. 内容について、さらに意見交換したり、文章的になおした方がよいところを話し合う。

 パソコン好きのT君がフォントサイズの設定を行なったり、操作の補助(印刷、保存など)をしてくれます。子供たちは、当初はワープロソフトと違うマイクロワールドに戸惑ったが、現在では30分ほどで自分の作文を打てるようになっている。
 誰かが文字入力をしているときは、友達がまわりに集まり、「ああすればいいね」「こうすれば...」といって教え合っています。現在ではT君以外にも操作の補助をしてくれる子供ができ、また、教え合いや話し合いから、友達同士の"かかわりあい"が、しっかりとしたものになっているようです。

【今後の希望と目標】

  • スキャナーで絵をパソコンに取りこんだり、パソコンで描いた絵をいれたい。
  • 個別化を図った場合、紙芝居やアニメーションなどの表現をふんだんにつかった自由研究の作品を作りたい。
  • 学習計画表の中にパソコンを入れたい。
  • ロボットなども取り入れたい。

●発表後のご意見・ご質問など●

 1台のパソコンを子供たちの間に広げて行く場合のアイデアはいろいろあるが、これもひとつの例。2005年から小学校では各教室にパソコンが2台入る予定なので、このような作文から入ってゆく先生も多いことと思うので、良い例だと思う(鈴木勢津子先生)。

(質問)クラスに1台だとたくさんの子供が押し寄せると思うが、入力や操作はちゃんとできるのだろうか?

(答え)たくさんいても混乱することはない。ごく親しい友達が近くに3-4人いてアドバイスし、入力するのは本人。あれこれお節介を言う野次馬もいるが、意外と本人は動揺しないようだ。

(質問)文字入力は「ローマ字入力」「かな入力」のどちらだろうか?また、「単文節変換」と「連文節変換」のどちらを使っているのか?さらに漢字入力や変換で困った問題がおきたことはないだろうか?

(答え)入力方法は各自で違う。概ね"かな入力"が多い。単文節変換を使っているようだ。 学年にあわせた読みがでてくるので、特に困った問題はないようだ。

*「一太郎スマイル」をインストールしてあるパソコンにマイクロワールドをインストールした場合、「一太郎スマイル」の日本語変換ツールバーが(通常)画面右下に表示される。「一太郎スマイル」の学年別辞書が使用できるので、子供たちの学年にあった変換ができる(事務局注)。

 
発表2 大久保 民雄先生(横浜市立山内中学校)
  • 題 材:「マイクロワールドProを使った絵本づくり」 --グループ制作をとりいれて--
  • 実践校:横浜市立山内中学校
  • 期 間:平成12年4月〜11月 
  • 科 目:技術科
  • 対 象:中学校3年生
大久保先生

●概 要●

 山内中学ではマイクロワールド(2.5、Pro)を使った技術科の活動が今年で3年目になりました。 1年目は「ホームページをつくろう」、2年目はホームページに写真だけでなくマイクロワールド作品を入れる活動を行ないました。しかし、年間約20時間程度の技術・家庭科の時間で、実質的にコンピュータに使える時間はその半分位。なかなか作品として完成することができませんでした。

 パソコンの使い方をまったく知らない生徒も含めて、少ない時間でも「形になるもの」をやらせたいと思い、3年目の今年は、グループでの共同制作による"マルチメディア絵本"を作ることにしました。社会にでても、一人でものを作る機会より共同でものを作る機会が多いのですから、共同作業から学ぶことも多いでしょう。クラスによって男女混合や男女別、くじ引きなど様々な分け方でグループを作り作品制作を行ないました。

 

■発表から■

1学期の学習内容

○パソコンの使い方やマイクロワールドProの使い方、絵の描き方や保存の仕方などの基本技術の指導。

○LANを使用するため、フォルダを決めてグループごとのユーザー名とパスワードを設定。

○これらと並行して、企画書の作成、題名の決定、制作のための役割分担を行なう。 グループ毎にプロデューサー、シナリオライター、演出家、キャラクターデザイナー、作曲家、声優...といった役割を決定する。

 2学期の学習内容

実際の制作に入る。合計9時間で作品を完成させること、また完成した作品は(HTML保存して)ホームページ上で鑑賞できることを条件とした。
 手分けして作業するため「マージ」(merge:コマンド 事務局注)を使って作品をコピーし、最後にまとめるといったやり方を使ったりもした。シェイプが入れ替わってしまったり、ファイルが大きすぎて読みこめないなど試行錯誤の繰り返しだったが、なかなかの大作も含まれる42作品ができあがった。

作品

(事務局より)
 6クラス分の42作品を持ってきていただき、そのうちから「ロビンの誕生日」「浦島」などを見せていただきました。昔ばなしをアレンジしたものもあれば全てオリジナルの作品もあり、バラエティ豊か。見ごたえのある作品が沢山あります。今後、大久保先生とご相談の上、公開できるようにします。

 

複数の生徒が共同で作品を制作していく過程では、ソフトとしての課題と思われる問題も明らかになり、それらについて意見交換が行なわれました。

【あげられた問題点の主なもの】

○ファイルサイズの問題:以前から指摘されているが、マイクロワールドでは作った作品が大きくなりがち。特に3MB以上の作品をHTML保存するとブラウザで開けないことがある。

○ハイパーリンクアイコンの問題:作品が大きくなりそうな場合、ファイルを分割保存し、開く際にハイパーリンクを使って順に開くことが出来ると便利。しかし現状ではハイパーリンクボタンをクリックするたびに、毎回ブラウザを起動してしまう。1つのブラウザで次々に起動して行くことができるようになるといい)

 
発表3 田中 孝宏 先生(江東区立第二亀戸小学校)
  • 題 材:「亀戸動物図鑑」   
  • 実践校:江東区立第二亀戸小学校   
  • 期 間:平成12年1月〜2月 約10時間
  • 科 目:総合的な学習の時間  (総合科目課題「自然と環境」)
  • 対 象:小学校4.5.6年生
田中先生

概 要

 マイクロワールドの統合機能を利用して、都会の中に住む身近な動物たちの観察記録を作成しました。総合科目の課題は「自然と環境」です。

(以下、田中先生資料より)

 「都会の中に住む動物たちに目を向け、その生態を調べる。身近に生息する動物(からす、犬、猫など)を観察し、記録をつけることで、人間と動物あるいは動物と人間がどう共存しているかを考える。

 

(学習手順)

  1. 学区域を一巡し、どんな動物がいるか確認する。
  2. 自分で調べる動物を決めて、本などで情報を収集する。
  3. 観察を始め記録をする。
  4. 途中経過を発表し合い,友達の視点を知り、観察のしかたを見直す。
  5. それぞれの動物を図鑑風にまとめ、印刷し、出版する。

生徒作品の例(田中先生資料より)
目次をクリックするとそのページにとぶようになっている。
写真上は鳩のページを開いたところ。
写真下は「ブチ猫」のページを開いたところ。


  • 題  材:自由作品
  • 実践校:江東区立第二亀戸小学校
  • 期  間:平成12年5月〜7月
  • (科 目):パソコンクラブ
  • 対  象:小学校4年生〜6年生

概 要

 パソコンクラブでの作品も見せていただきました。自作の音楽を使った前衛的な(?)作品「形」や、「カービイ」「ハチの兄弟」などのアニメーションなど。田中先生は細かいテクニックなどは教えず、子供たちが勝手に考え、作ることを見守っていくようにしているとのことです。

作品のデモの後、田中先生が作品のデモに使った「それぞれをやる(dolist)」「ページをだす(getpage)」「さくひんをだす(getproject)」で、複数作品を次々にデモする方法について質問がだされました。

(これについては、メーリングリストで詳細をご説明しています。)

 
マイクロワールドで作成したツールソフト 金井 清 先生(大宮市立泰平中学校)校)
金井先生

 毎回パワフルに実用的なマイクロワールドツールを発表してくださる金井先生。前回の「席替え」に続き、今回はビデオ映像を利用した理科教材「誕生」を見せていただきました。

 宇宙遊泳のようにタイトル画面の中を動きまわる14個の画像。興味あるものをクリックすると説明ノートが開き、音声(解説)付きでビデオ再生が行われる。動く映像に興味を持つ子供たちの特徴を、調べ学習に活かそうと工夫した作品。映像(静止画像)を動く映像と比較しながら見ることによって、子供たちの課題認識を高めることも考慮されている。

作品

「誕生」 タイトル画面

 

教育マイクロワールド研究会 事務局から

 以上のような実践発表とツールソフトの発表のあと、理事の鈴木勢津子先生を中心に来年の研究会の運営について意見交換が行なわれました。この内容および次回の日程については会員の方に別途メーリングリストでご案内します。